リディアード式 マラソントレーニングとは? 持久力を重点強化する練習内容について
こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!
数あるランニング・トレーニング理論の中でも最も有名なものの1つがこのリディアード式。
あの瀬古利彦監督も、トレーニング計画を組むにあたりとても影響を受けているとのことです。
持久力の養成に重きをおいているリディアード式についてのまとめです。
今回は前編として、各トレーニングの概要までとしています。
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リディアードとは?
リディアードとはニュージーランドの陸上監督(元選手)であり、1960年のロンドンオリンピックにて教え子のスネルが800m金メダル、ハルバーグが5000mで金メダル、マギーがマラソンで金メダルを取得し、世界的な成功を収めた。その後も陸上業界、更には一般人の体力養成において比肩するものがいないほどの成果を上げた。
リディアード式トレーニングとは?
数あるトレーニング法の中でも、持久力の養成にかなりの重きを置いています。400mを50秒で走っても日本の高校生で地区予選敗退、県大会にも出れません。一方、同じペースで800mを走れば世界記録(2018年6月時点:1分40秒91)になってしまいます。よって、中距離からマラソンまでのトレーニングにおいて、持久力が重要であると考え、期分けの中でも持久力養成の期間が長く、スピード強化の時期になってもベースのランニングは継続されます。
マラソンコンディショニングトレーニング
リディアード式の中心となるトレーニングです。定義としては以下のように説明されています。
『最高安定状態(1分間の最大酸素摂取量とちょうど釣り合う強度)の70~80%程度の強度』
『ダラダラしたペースではないが、キツくもない』
『走り終えた後、心地よく疲れているがもう少し速く走れた』
『前半と後半で自然にペースが上がっても落ちてもいけない』
『翻訳者の体験談では、心拍数120~130では低く、140~150程度』
練習スケジュールには別途「ジョギング」というメニューもあるので、明らかにジョギングやLSDとは区別されています。
このトレーニングの目的としては、以下の効果により有酸素運動能力の強化を図ります。
- 心臓肥大化により1回の心拍における血流量を増やす
- 肺の毛細血管が発達し、酸素の吸収量が増える
- 動かした筋肉の毛細血管も発達し、筋肉への酸素供給が増え、老廃物の排出が早まる
- 疲労回復力が上がる
リディアードは距離ではなく時間で管理するほうが良いと言っています。その方がレベルに合わせて速い人は長い距離に、初心者は短い距離になります。
どれくらいやるのか?
始めは「自分が“長い”と感じる時間を週3回走る」となっています。15分なら気持ちよく走れる場合は、週3回30分、その他の日は15分。1時間なら気持ちよく走れる人は週3回1時間半~2時間。慣れてきたら多い日と少ない日、起伏の有り無し等を組み合わせていくことになります。
最も効率よく有酸素能力を高められるのは、週に160kmのマラソンコンディショニングを実施するとあります。毎日23km程度となり、一般のサラリーマンにはかなり厳しい距離となります。上記で時間管理と言っていたのに距離?と思いましたが、これがオリンピックレベルの選手用だとすると、おそらくマラソンコンディショニングのペースは4分/kmを切っています。一般人ランナーでペースが6分/kmの場合なら毎日15km程度になり、多いですが人によっては実現できるレベルになります。
ちなみにオリンピックレベルの場合、マラソンコンディショニングが週160kmであり、疲労回復などのジョギングは別に週160km走っていたとか…(^^;
どこでやるのか?
リディアードはクロスカントリー(不整地、不規則な起伏に富んでいる)よりもアスファルトで実施したほうが良いとしています。
上記の目的を見ての通りこの練習の目的は筋力やスピードの強化ではなく、心肺機能の強化となります。よって不規則なアップダウンやグリップの悪い地面では心肺機能に適切な負荷をかける前に筋肉が疲れてしまい。目的を達成できない可能性があるクロスカントリーよりもアスファルトで実施したほうが良いです。
ヒルトレーニング
このトレーニングはマラソンコンディショニングの期間が終わってから移行するのではなく、徐々に取り入れ、次の段階のスピードと無酸素運動能力強化のための下準備としています。リディアードはこのトレーニングを『スピードやパワーを付けるウェイトトレーニング、柔軟性をつける体操、フォームの改善を図るドリル、無酸素能力を得るランニングをまとめて実施できる時間効率のいい練習』としています。
このトレーニングの目的は以下のとおりです。
- 大腿部や足首の筋と腱にパワーと柔軟性を養っておく
ここで気をつけるのは、上記で無酸素能力も得られるとしていますが、あくまで次の段階のトレーニングの下準備としてわずかに強化されるだけであり、レースのような無酸素状態に体を追い込むことはしないとしています。マラソンコンディショニングからの移行ということで、徐々に質・量を上げていくことが重要としています。
- ヒルスプリンギング
片足ずつ交互に、その場飛びのように地面を蹴り、腕を大きく降って重心を真直ぐ上に持ち上げるつもりで高く飛ぶ。 - スティープヒルランニング
いわゆる「腿上げ走」 - ヒルバウンディング
腕を前後に大きく振り、足首のバネを効かせ、弾みながら坂を上がる - ヒルストライディング
緩やかな下り坂で、心もちストライドを広げ、自分の動きをしっかりコントロールできる範囲で、できるだけ速く下る。 - 流し
- ジョグ
※より細かいポイントや写真解説は本書をご参照ください。
これらにより各部の筋力強化や柔軟性強化を図っていきます。
トラックトレーニング
最後に行うのがトラックトレーニングです。ここでの目的は、以下の通りです。
- スピードを養成する
- スピードとスタミナを強調させる
この段階に入る注意点として、十分なスタミナの土台を築いておくこととあります。最も重要なトレーニングは有酸素能力を高めるものであり、それを怠れば無酸素能力もレースもあったものではありません。また、無酸素トレーニングのやりすぎは有酸素能力を損なうことがあり、無酸素能力が開発された後も無酸素トレーニングを継続することはデメリットにもなりうると注意を促しています。
また、トラックトレーニングおよび本命以外のレースでは、設定以上のペースで走ってはいけないとあります。つい自分の力を試したくなることもありますが、スピードの養成ができないうちに設定以上のペースで走ることで、本来は本命レースで築くべきピークがずれてしまいます。
その他のポイントとして、無酸素トレーニングはきちんと疲れを抜いてから(血液のpH値を元に戻してから)練習を行うこと、つなぎの日に十分なジョギングを入れることで回復を早めることができるとしています。
トラックトレーニングでは以下のメニューをスケジュールのバランスを取りながら組んでいきます。
- ファルトレク
- インターバルリレー
- タイムトライアル
- スタート練習
- レペティション
- シャープナー
- スプリントトレーニング
まとめ
このように、リディアード式では常に有酸素能力の開発を意識し、スピード強化はいわば『研ぎ澄ます』仕上げのみという扱いになっています。ナイフのような小さなベースしかできていなければ、どんなに研ぎ澄まそうとしても、日本刀のような大きなベースを築いてきた人と勝負をすることはできません。
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後編では『期分け』によるトレーニングの長期での組み立て方に入ります。